吉良朗

小説 浮かんだノイズ

エピローグ 天使なんかじゃない

― 浮かんだノイズ ―  私が話しを聞き終え・・・・・・・、店のドアを開けて外に出ると、すぐ目の前に制服警官が立っていた。 「あ、終わりました。ありがとうございます」  私が言うと、若い警官は少し訝し ...

小説 浮かんだノイズ

終幕 天使だったのかもしれない――

― 浮かんだノイズ ―  晴れやかな気分は、あの女がへんな儀式を行った日から二日ほどだけで三日後にはもう消え失せていた。  それどころか、日に日に俺の顔は嘘のように土気色にやつれていき、一週間ほどした ...

小説 浮かんだノイズ

第30話 アップルジュース

― 浮かんだノイズ ―  帰り際、女は六百円を請求してきた。  俺は一瞬、意味が分からかった。  なので、呆気にとられた表情でもしていたのだろう。  女が続けた。 「本当はこのくらいの案件だと、七十万 ...

小説 浮かんだノイズ

第29話 JMA

― 浮かんだノイズ ―  気がつくと、俺は背中にひんやりとしたものを感じた。  ハッと目を開くと、ぼんやりと黒い頭がこちらを覗き込んでいて、思わず、ひっ! と声をあげて逃げようとしたが、そこでどうやら ...

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第28話 塊のノイズ

― 浮かんだノイズ ―  女はステージに向かって、何やらお経のような物を唱となえていた。  俺は言われたとおりに黙って、固唾かたずを飲みながらその様子を眺めていた。  女はしばらく唱え続けながら、テー ...

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第27話 どらいぶ

― 浮かんだノイズ ―  あの夜、俺は、ステージの上でだらりとぶら下がっている美樹を、しばらく突っ立ったまま眺めていた。  ライトで見回した時には手前のテーブルや椅子いすに隠かくれていて見えなかったの ...

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第26話 儀式

― 浮かんだノイズ ―  俺は手元に視線を落としたまま、ありありと浮かぶあの・・光景、あの・・記憶を打ち消すように女に向けて声を荒げた。  「そんなの聞けばいいだろ!! 本人に……」  皮肉を込めたよ ...

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第25話 光の輪の中に・・・

― 浮かんだノイズ ―  店内に電気はついていなかった。  地下なので、外からの街灯の光がほとんど届かない。  じっと気配を探ってみたが、店内に人がいるような様子はなかった。  トイレとバックヤード以 ...

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第24話 開く扉

― 浮かんだノイズ ―  では、実際、どんな方法でどういった事故に見せかけるか……  計画は店の外で実行されなくてはならない。  俺が真っ先に考えたのは、闇サイトと呼ばれるもので、そこで何かしら実行方 ...

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第23話 トリガー

― 浮かんだノイズ ―  中古車販売店に行くと、やたらと笑顔を向けてくる軽い口調の男に迎えられた。  受け取った名刺には、小橋圭介こばしけいすけとあった。  俺は男が飲み物を用意しに行ったのを見計らっ ...

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